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「特定技能で来日しているが、家族を日本に呼びたい」「日本人と結婚したけれど、これからどうすればいいのか」——こうしたご相談は、当事務所にも月に数件は届きます。
特定技能ビザの家族帯同に関するルールは、1号か2号かによって大きく異なります。しかし「家族を呼べない」という情報だけが広まり、「では結婚したら?」「子どもはどうなる?」という部分が正確に理解されていないケースを多く見受けます。
この記事では、特定技能の家族帯同ルールを制度の根拠から整理したうえで、日本で結婚した場合・配偶者を呼びたい場合など、具体的なシナリオごとに手続きを解説します。
この記事でわかること
- 特定技能1号・2号それぞれの家族帯同ルール
- 在留資格「家族滞在」を取得するための要件
- 日本人・永住者などと結婚した場合の在留資格変更の流れ
- 特定技能同士の婚姻で注意すべきこと
- 家族帯同をめぐる よくある誤解と落とし穴
筆者は池袋で外国人ビザ・在留資格を専門とする行政書士です。特定技能外国人本人からの相談だけでなく、受け入れ企業の担当者からの問い合わせも多く受けており、制度の運用実態を踏まえてお伝えします。
特定技能1号では「家族帯同」は原則できない
特定技能1号は、在留期間が通算5年以内に制限されており、この性格から在留資格「家族滞在」を取得することが認められていません。在留資格法上、「家族滞在」は中長期在留者の扶養を受ける家族が取得する資格であり、1号はその扶養者となる要件を満たさないと整理されています。
ただし「家族帯同不可」という表現は、誤解を生みやすい言い方です。正確には「特定技能1号保持者が扶養する形での家族滞在ビザは取れない」という意味であり、次のような場合は家族が日本に在留することは可能です。
- 配偶者が「日本人の配偶者等」など別の在留資格を独自に持っている場合
- 配偶者が就労ビザ・永住許可などを持っている場合
- 子が「定住者」などの資格で在留している場合
「短期滞在」での来日との違い
配偶者が観光・親族訪問を目的とした「短期滞在」(90日以内)で来日することは可能ですが、就労や生活基盤を持って日本に定住することとは全く異なります。長期間ともに生活したい場合は、家族が独自の在留資格を取得する必要があります。
特定技能2号では家族帯同が可能
特定技能2号は、在留期間の上限がなく更新が可能な資格です。この安定した在留ステータスを背景に、在留資格「家族滞在」を取得することが認められています。対象となる家族は配偶者と子(実子または特別養子)です。
2023年6月の省令改正により、特定技能2号の対象分野が大幅に拡大されました。従来は建設・造船の2分野のみでしたが、農業・漁業・飲食料品製造業・外食業・宿泊・自動車整備・航空など多くの分野で2号が設置されたため、2号への移行を目指せる外国人が格段に増えています。
| 特定技能1号 | 特定技能2号 | |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算5年以内 | 更新制(上限なし) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可(家族滞在を取得可能) |
| 対象分野 | 12分野 | 11分野(介護除く) |
| 永住申請への道 | 直接は不可 | 要件を満たせば申請可能 |
家族滞在の在留資格を取得するには、扶養者(特定技能2号の本人)の収入が家族を扶養するのに安定・十分であること、婚姻関係が法的に有効であること(法律婚のみ、事実婚は対象外)などの審査があります。申請には、特定技能2号の在留カード・婚姻証明書類・住民票・収入証明などが必要です。
家族滞在の配偶者が働く場合
「家族滞在」の在留資格だけでは就労できません。アルバイトなどをする場合は「資格外活動許可」を取得する必要があり、許可を受けた場合でも週28時間以内という制限があります。家族の就労を前提に計画を立てる場合は、この制限を見越して収支の見通しを立てておきましょう。
日本で結婚した場合——シナリオ別の在留資格の対応
特定技能外国人が日本で結婚するケースは珍しくありません。相手が誰かによって、その後の在留資格の取り扱いが大きく変わります。以下、代表的な3つのシナリオを整理します。
シナリオA:特定技能外国人同士の結婚
双方が特定技能(1号)を保持している場合、それぞれが独立した在留資格を持っているため、婚姻しても在留資格の手続きは基本的に不要です。ただし、一方が相手の「扶養を受ける」形で「家族滞在」に変更することは認められません。
子どもが生まれた場合は、子の在留資格取得手続き(出生後30日以内)が必要になります。放置すると不法在留になる可能性があるため、出産後は速やかに手続きを行ってください。
シナリオB:日本人と結婚
特定技能1号保持者が日本人と結婚した場合、在留資格を「日本人の配偶者等」に変更することが可能です。「日本人の配偶者等」は就労制限がなく、さまざまな職種で働くことができます。特定技能1号のまま在留し続けることも可能ですが、婚姻関係が続く限り「日本人の配偶者等」への変更を検討する価値があります。
変更申請には、婚姻届受理証明書、日本人配偶者の戸籍謄本、住民票、交際経緯を説明する申請理由書などが必要です。審査には概ね2週間〜2ヶ月かかります。
婚姻後も在留資格変更が必要——「自動変更」はない
日本人と結婚したからといって、在留資格が自動的に変更されるわけではありません。変更申請をしないまま特定技能1号の在留期限が切れると、不法在留になります。婚姻後はできるだけ早く行政書士または地方入管局に相談してください。
シナリオC:永住者・定住者と結婚
相手が「永住者」の場合は「永住者の配偶者等」、相手が「定住者」の場合は状況により「定住者(告示定住)」への変更が考えられます。ただし配偶者の在留ステータス・本人の在日年数・収入状況などにより判断が異なるため、個別に専門家へ確認することをお勧めします。
「婚姻後の手続きを知らなかった」——実際の相談事例
数ヶ月前、特定技能1号でフィリピン出身の方(食品製造業に従事)からご相談がありました。日本人の彼女と婚姻届を提出してから約4ヶ月が経過していましたが、在留資格の変更手続きをしていないことに職場の担当者から指摘され、慌てて当事務所に連絡をくださったのです。
「結婚したら自動的に手続きされると思っていました。会社の担当者に言われてはじめて知って、怖くなってしまって…」
幸い、現在の特定技能1号の在留期限まで3ヶ月以上の余裕があったため、「日本人の配偶者等」への変更申請を急いで進めることができました。申請から約5週間で許可が下り、就労に支障なく資格変更を完了しています。
このケースのように、婚姻後の在留資格変更は当事者が自発的に動かなければ誰も教えてくれません。雇用主がそのリスクを見落としているケースも多く、企業の担当者にとっても注意が必要な部分です。婚姻の事実を把握した時点で、速やかに専門家へ相談するよう社内マニュアルに盛り込むことを強くお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q特定技能1号の外国人が、海外にいる配偶者を日本に呼ぶことはできますか?
特定技能1号のままでは在留資格「家族滞在」を取得できないため、扶養目的での呼び寄せはできません。ただし配偶者が独自の就労ビザ等の取得要件を満たすのであれば、別の在留資格で来日・在留することは可能です。また、本人が特定技能2号に移行した後であれば、家族滞在の呼び寄せが可能になります。
Q特定技能2号に移行するにはどうすればよいですか?
分野ごとに設けられた特定技能2号の技能試験に合格し、その分野での実務経験要件を満たすことが主な条件です。試験は各分野の所管省庁が実施しており、詳細は分野ごとに異なります。2023年以降、対象分野が拡大していますので、自身の就労分野の要件を確認するか、行政書士にご相談ください。
Q家族滞在の在留資格を持つ配偶者はアルバイトできますか?
「家族滞在」のままでは就労できません。アルバイトをする場合は、地方入管局で「資格外活動許可」を申請する必要があります。許可を受けた場合でも、就労できるのは週28時間以内に制限されています(在学中の留学生と同じルールです)。
Q日本人と結婚した場合の在留資格変更申請に必要な書類は何ですか?
主な必要書類は以下の通りです。①在留資格変更許可申請書、②婚姻届受理証明書または戸籍謄本(配偶者のもの)、③質問書(申請書に附属する交際経緯の説明書類)、④配偶者の住民票、⑤配偶者の収入証明(課税証明書・源泉徴収票など)、⑥申請人の在留カード・パスポート。審査状況によっては追加書類を求められることもあります。
Q受け入れ企業として、特定技能外国人が結婚した場合に必要な対応はありますか?
入管法上の届出義務として、特定技能外国人の在留資格が変更された場合には雇用契約・支援計画の内容に影響が出る可能性があります。「日本人の配偶者等」に変更された場合は特定技能の枠外となり、支援義務が解消されます。一方で婚姻した事実を知りながら適切な対応を促さなかった場合、不法就労助長と判断されるリスクもあります。婚姻の報告を受けた時点で、すみやかに行政書士に相談されることをお勧めします。
まとめ
特定技能ビザと家族帯同のルールは、1号と2号で明確に異なります。1号は家族滞在の在留資格を取得できないため「家族帯同不可」と呼ばれますが、家族が独自の在留資格を持っていれば日本での生活は可能です。一方、2号に移行すれば配偶者・子の家族滞在が認められます。
- 特定技能1号:家族滞在不可(家族が別の在留資格を持つ場合は日本在留可)
- 特定技能2号:配偶者・子の「家族滞在」取得が可能
- 日本人・永住者等との婚姻後は在留資格変更申請が必要(自動変更はない)
- 婚姻後の手続き漏れは不法在留リスクにつながるため、早急に専門家へ相談を
「自分のケースはどうなるのか」「どの書類を集めればよいのか」といった個別のご事情については、制度の解説記事だけでは判断しきれないことも多くあります。当事務所では特定技能をはじめとした在留資格の手続きを専門に扱っており、初回相談は無料でお受けしています。婚姻後の手続きや家族の呼び寄せについてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。