特定技能ビザの種類と1号・2号の違いを行政書士が解説【2026年最新版】

特定技能ビザ1号2号

目次

    「特定技能ビザって種類があるの?うちの業種でも使えるの?」——外国人採用を検討している経営者や人事担当者の方から、こうした相談を毎月数件いただきます。

    結論から言うと、特定技能ビザには「1号」と「2号」の2種類があり、在留期間・家族帯同・支援義務など様々な点で大きく異なります。また、2026年1月には対象分野が16から19に拡大されており、「以前は対象外だった業種が今は使える」というケースも出てきています。

    ところが、ネット上の情報は古いものが多く、2024年の制度変更(協議会加入タイミングのルール改正)を反映していない記事も少なくありません。情報が古いまま申請を進めてしまい、書類不備で差し戻しになるケースを私自身何度も見てきました。

    この記事でわかること

    • 特定技能1号・2号それぞれの特徴と6つの違い
    • 2026年最新の対象19分野と各業務内容
    • 申請現場でよくある落とし穴(協議会加入・業務範囲誤解・2号移行の難易度)
    • 技能実習・育成就労・技人国との違いと選び方
    • 企業が特定技能ビザ申請を進めるための具体的な手順

    筆者は池袋で行政書士事務所を運営しており、就労ビザ・在留資格の申請を専門に手がけています。制度の建前ではなく、実際の申請現場で起きていることをベースにお伝えします。

    特定技能ビザとは?制度の概要と2種類の在留資格

    特定技能ビザとは、2019年4月に創設された在留資格で、人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるための制度です。「技能実習」とは異なり、あくまで「即戦力の労働者として働いてもらう」ことを目的とした在留資格です。

    特定技能ビザには、技能水準と在留条件が大きく異なる2種類が存在します。それぞれの特徴を正しく理解することが、採用計画や長期雇用設計の第一歩です。

    特定技能1号と2号の比較イメージ図

    特定技能1号とは

    特定技能1号は、特定産業分野において相当程度の知識または経験を必要とする業務に従事できる在留資格です。主な特徴は以下のとおりです。

    • 在留期間:1回あたり最長1年。通算で上限5年(更新を繰り返しても5年を超えられない)
    • 技能試験:各分野の「特定技能評価試験」に合格が必要
    • 日本語試験:「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2レベル」または「JLPT N4以上」が必要
    • 家族帯同:原則不可(配偶者・子の呼び寄せはできない)
    • 支援計画:雇用企業は外国人支援計画を策定・実施する義務がある(登録支援機関に委託可)

    なお、技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能試験・日本語試験が免除されます。技能実習からスムーズに切り替えられる点が、現場での普及を後押ししています。

    特定技能2号とは

    特定技能2号は、特定産業分野において熟練した技能を要する業務に従事できる上位の在留資格です。1号との最大の違いは在留期間の制限がなく、更新を続ければ永続的に日本で働くことができる点です。

    • 在留期間:3年・1年・6か月ごとの更新が可能。上限なし
    • 技能試験:各分野の「特定技能2号評価試験」(難易度が高い)
    • 日本語試験:不要
    • 家族帯同:配偶者・子の帯同が可能
    • 支援計画:不要
    • 永住申請:在留継続により永住要件を満たす可能性がある

    ポイント

    特定技能2号は「永住につながるビザ」と理解してよい資格です。ただし2号の技能試験は1号と比べて難易度が高く、実務経験の積み重ねが前提となります。「1号で入社して実績を積み、2号へステップアップ」という長期プランが現実的な活用です。

    特定技能1号と2号の違いを6つの観点で比較

    1号と2号は同じ「特定技能」という名称でも、実務上の差は非常に大きいです。企業担当者が雇用計画を立てる際に必ず押さえておきたい比較ポイントを整理します。

    比較項目 特定技能1号 特定技能2号
    技能水準 相当程度の知識・経験 熟練した技能(実務経験が必要)
    在留期間 通算5年(上限あり) 更新制・上限なし
    日本語試験 必要(JFT-Basic A2 または JLPT N4以上) 不要
    支援計画 必要(登録支援機関に委託可) 不要
    家族帯同 原則不可 配偶者・子の帯同可
    永住申請 要件を満たしにくい(上限5年のため) 在留継続で永住申請の対象になり得る

    企業側の視点では、1号は「登録支援機関に委託するコストがかかる」一方、2号は支援義務がなく管理コストが下がります。ただし2号へ移行するためには本人が熟練技能試験に合格する必要があるため、入社当初から長期的な育成視点が不可欠です。

    注意点:対象分野の違い

    特定技能1号は19分野が対象ですが、2号は「介護」を除く11分野のみが対象です(2026年現在)。介護分野は1号のみで2号制度がないため、介護施設で長期雇用を計画する場合は別途「介護」ビザへの移行などを検討することになります。

    【2026年最新】特定技能の対象19分野一覧

    特定技能ビザを使うには、雇用する業務が「特定産業分野」に指定されている必要があります。2026年1月23日の閣議決定により、従来の16分野に3分野が追加され、現在は19分野が対象となっています。

    参考情報

    2026年1月追加の3分野(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環)は、2027年度からの本格的な受け入れ開始を目指して準備が進められています。現時点では基準省令や試験制度の整備段階であり、実際の受け入れ開始時期は各分野の所管省庁の発表をご確認ください。(出典:出入国在留管理庁)

    特定技能19分野の一覧インフォグラフィック

    従来の16分野

    分野名 主な業務内容 2号
    介護身体介護・入浴・排泄・食事の介助等×(1号のみ)
    ビルクリーニング建物内部の清掃業務
    工業製品製造業機械・電気・電子・印刷等の製造加工
    建設型枠施工・左官・配管・内装仕上げ等
    造船・舶用工業溶接・塗装・機械加工等
    自動車整備自動車の日常点検・定期点検整備等
    航空空港グランドハンドリング・航空機整備
    宿泊フロント・企画広報・接客・レストランサービス
    農業耕種農業・畜産農業の各種作業
    漁業漁船漁業・養殖業の各種作業
    飲食料品製造業飲食料品の製造・加工・安全衛生管理
    外食業飲食物調理・接客・店舗管理
    自動車運送業タクシー・バス・トラック運転
    鉄道軌道整備・電気設備整備・運転等
    林業育林・素材生産・特用林産物生産等
    木材産業木材加工・合板製造等

    2026年1月に追加された3分野 NEW

    分野名 主な業務内容 受入開始予定
    リネンサプライホテル・病院向けリネン類の洗濯・補修・納品管理2027年度以降
    物流倉庫倉庫内の荷役・仕分け・在庫管理等2027年度以降
    資源循環廃棄物の分別・中間処理等2027年度以降

    注意点

    2026年1月に追加された3分野は、まだ試験制度・基準省令の整備中です。「物流倉庫でも特定技能が使える」と報道されたことで問い合わせが増えていますが、2026年5月現在、実際の受け入れは始まっていません。2027年度以降の制度開始を待つ必要があります。

    行政書士が相談の現場で見た「申請でよくある落とし穴3つ」

    特定技能ビザは書類が多く手続きが複雑で、「自社で申請しようとして途中でつまずく」ケースが後を絶ちません。私が実際に受けた相談の中から、特に多かった失敗パターンを3つご紹介します。

    特定技能ビザ申請で困っている担当者イメージ

    「特定技能で申請しようとしたら、入管に『協議会に入っていないので申請を受け付けられない』と言われました。どういうことでしょうか…」

    先日、都内で飲食店を複数展開する経営者からこのような相談を受けました。技能実習生3名を特定技能1号に切り替えようとして、在留資格変更申請を入管に持参したところ、協議会加入の証明書類がないとして受理されなかったとのことでした。古い情報を参考にして手続きを進めてしまったのが原因です。

    落とし穴①:協議会加入を後回しにして申請がストップ

    特定技能ビザを使うには、企業が業種ごとの「特定技能協議会」に加入する必要があります。かつては特定技能外国人を雇用した後に加入すればよかったのですが、2024年6月以降、全分野でビザ申請前の協議会加入が必須になりました。

    この変更が反映されていない古い記事を見て「入社後に加入すればいい」と思い込んだまま申請に進むケースが今でも絶えません。協議会加入には数週間かかる場合もあり、外国人本人の在留期限が迫っているときは深刻な問題になります。

    注意点:2024年6月ルール変更

    特定技能ビザの申請前に、所管省庁が運営する「特定技能協議会」への加入が全分野で必須となりました。加入後に発行される証明書が申請書類に必要です。採用活動の早期段階で協議会加入手続きを先行させましょう。

    落とし穴②:対象業務の範囲を誤解して不許可

    特定技能ビザは「特定産業分野で定められた業務」にしか従事できません。例えば、飲食料品製造業で採用した外国人に「工場の設備メンテナンス」をやらせると業務範囲外となり問題になります。

    農業分野で採用した場合も、「耕種農業」と「畜産農業」は別々の業務区分として定められており、両方に従事させる場合は契約内容への明記が必要です。業務区分を誤ると許可が下りないか、更新時に問題化します。

    落とし穴③:1号→2号移行の難易度を甘く見て長期計画が狂う

    「5年働いてもらって、その後は2号に移行すれば長期雇用できる」と考えている企業は多いです。しかし特定技能2号への移行には各分野の熟練技能試験への合格が必要で、合格率は分野によって大きく異なります。

    特に建設・造船・自動車整備などは実技を含む高難度の試験で、日常業務の経験だけでは不十分です。「1号で入社した後は本人任せ」では2号移行はほぼ不可能です。長期雇用を前提とするなら、入社当初から2号移行を視野に入れた教育プランを立てることが不可欠です。

    ポイント

    長期雇用を前提とするなら、入社から2〜3年目には2号試験に向けた準備を開始するスケジュールを組みましょう。試験対策の研修費用を企業側で支援するケースも増えています。

    特定技能と育成就労・技能実習・技人国の違いを整理

    「技能実習との違いは?」「技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザとどう違うの?」——特定技能ビザを検討する企業担当者から最もよく受ける質問です。それぞれ目的と要件が大きく異なるため、整理しておきましょう。

    特定技能・育成就労・技人国の違い比較図

    技能実習から育成就労制度への移行と特定技能の関係

    2024年の法改正により、技能実習制度は廃止され、2027年を目途に「育成就労制度」へ移行することが決まっています。育成就労は「技能実習のように技能移転が目的ではなく、特定技能1号への移行を前提に人材を育成する制度」という位置づけです。

    つまり「育成就労(旧技能実習)→特定技能1号→特定技能2号」というキャリアパスが制度として設計されており、育成就労を入口として長期雇用につなげる活用法が今後の主流になっていきます。制度移行期の今こそ、長期的な採用戦略の見直しが必要です。

    技術・人文知識・国際業務(技人国)との違い

    技人国ビザは「大卒以上の学歴または職務経験」が要件で、主にホワイトカラー職(IT・マーケティング・通訳など)を対象としています。一方、特定技能ビザは学歴不問で技能試験に合格すれば取得でき、製造・飲食・介護などの現場職を広く対象としています。

    特定技能ビザが向いているケース

    • 製造・農業・飲食・建設などの現場作業職
    • 学歴がなくても技能・日本語能力がある人材
    • 技能実習生からスムーズに切り替えたい
    • 長期雇用を見据えて2号移行を計画したい

    技人国ビザが向いているケース

    • ITエンジニア・翻訳・通訳・マーケティング等
    • 大学・専門学校卒で学歴要件を満たす人材
    • 管理職・本社スタッフなどホワイトカラー職
    • 特定技能の対象分野外の業種

    企業が特定技能ビザを取得するまでの流れ

    特定技能ビザの申請は、他の就労ビザと比べて書類量が多く、準備段階で躓くケースが多いです。以下のステップで順序よく進めることが重要です。

    STEP 1 対象分野の確認と協議会加入(申請前に必須)

    自社の業種・業務内容が19分野のどれに該当するかを確認します。次に、その分野の特定技能協議会に加入申請を行います。2024年6月以降、この手順をビザ申請より前に完了させることが必須です。協議会によっては審査に数週間かかるため、採用計画の早い段階で動き始めましょう。

    STEP 2 外国人の技能試験・日本語試験の状況確認

    採用予定の外国人が技能試験と日本語試験に合格しているかを確認します。技能実習2号を良好に修了している場合は両試験が免除されます。未修了の場合は、試験のスケジュールと合格状況を確認し、必要なら試験準備のサポートを検討します。

    STEP 3 登録支援機関の選定または自社支援体制の構築

    特定技能1号の場合、外国人支援計画の策定と実施が義務です。自社で対応できない場合は登録支援機関に委託します。登録支援機関の選定には費用・対応力・実績を比較検討することを推奨します。支援内容には生活オリエンテーション・住居支援・相談窓口対応などが含まれます。

    STEP 4 必要書類の準備と在留資格申請

    雇用契約書・特定技能雇用契約書・支援計画書・協議会加入証明・給与水準適合の誓約書など、分野によって30〜60種類の書類が必要になります。書類不備は差し戻しの原因となるため、行政書士への確認依頼を強くお勧めします。

    申請の所要期間の目安

    協議会加入から在留資格許可まで、スムーズに進んでも2〜4か月かかることが多いです。外国人本人の在留期限が迫っている場合は特に早めに動く必要があります。在留期限の3か月前を目安に準備を開始しましょう。

    よくある質問(FAQ)

    特定技能ビザについて、企業担当者の方から特によく受ける質問をまとめました。

    Q技能実習生を特定技能に切り替えるには何が必要ですか?

    A

    技能実習2号を良好に修了すれば、技能試験・日本語試験が免除されるため比較的スムーズに特定技能1号へ移行できます。ただし、協議会加入・雇用契約の締結・支援計画の策定など在留資格変更申請に必要な書類準備は必要です。技能実習の在留期限が切れる前に手続きを開始することが重要です。

    Q特定技能1号から2号への移行は難しいですか?

    A

    分野によって難易度が異なりますが、2号試験は実技を伴う高難度の試験であることが多く、合格率が低い分野もあります。日常業務の経験だけでは不十分で、試験対策のための学習・訓練が必要です。長期雇用を前提とするなら、入社当初から2号移行を見据えた教育投資を始めることをお勧めします。

    Q行政書士に頼む必要はありますか?自社で申請できますか?

    A

    自社申請は法的に可能ですが、書類量の多さ・分野ごとの特殊要件・頻繁な制度改正への対応を考えると、特に初回は行政書士への相談を強くお勧めします。書類の不備で差し戻しになると、外国人本人の在留期限に影響が出ます。当事務所では初回相談を無料で承っております。

    Q特定技能外国人は転職できますか?

    A

    はい、同じ分野内であれば転職は自由です。これは技能実習と大きく異なるポイントで、特定技能外国人は「企業に縛られない」労働者です。ただし転職先でも同じ分野内の業務であることが条件で、就労先変更の届出が必要です。

    まとめ:特定技能ビザの種類と2026年の最新情報

    特定技能ビザは制度が複雑なうえに頻繁に改正されており、古い情報をもとに申請を進めると思わぬところで止まります。本記事のポイントを改めて整理します。

    特定技能ビザを正しく活用するための3つのポイント

    • 特定技能1号(通算5年・支援義務あり)と2号(期間制限なし・熟練技能試験)の違いを理解し、長期雇用計画に合った活用方法を選ぶ
    • 対象は2026年最新で19分野に拡大。2024年6月の制度変更(協議会加入はビザ申請前に必須)など最新ルールを確認する
    • 書類量の多さ・制度改正への対応・落とし穴回避のため、初回申請は行政書士への相談を検討する
    特定技能ビザのまとめ

    池袋行政書士事務所(リライアンス東京)では、特定技能ビザを含む就労ビザ・在留資格の申請を専門に手がけています。「うちの業種でも使えるか確認したい」「今すぐ手続きを進めたい」というご相談は、無料相談フォームからお気軽にどうぞ。

    井崎忠弘

    この記事を書いた人

    井崎 忠弘行政書士

    リライアンス東京行政書士事務所の代表行政書士。就労ビザ申請取次・相続・会社設立など幅広い業務に対応。依頼者に寄り添い、わかりやすい説明を心がけています。