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「技能実習が廃止されると聞いたが、うちの業種は育成就労でも受け入れを続けられるのか」——外国人材の受け入れを検討している企業から、いま最も多く寄せられるのがこの不安だ。制度が大きく変わるタイミングで、自社が対象分野に残るかどうかは、採用計画そのものを左右する重大な問題である。
育成就労は、これまでの技能実習に代わる新しい受け入れ制度として2024年に法整備され、2027年の施行が予定されている。最大のポイントは、対象となる産業分野が「特定技能」とほぼ同じ枠組みに整理され、原則として17分野に集約されたことだ。
この記事では、育成就労の対象17分野を各分野の代表職種とともに一覧で示したうえで、技能実習の82職種(約90作業)から何が残り何が消えたのか、航空・自動車運送業がなぜ慎重に扱われるのか、そして「物流倉庫はOK・トラック運転手はNG」という物流業の棲み分けまで、採用担当者の実務目線で整理する。外国人雇用の相談を数多く受けてきた行政書士の視点で、制度の建前ではなく現場で必要な判断材料だけを解説する。
この記事でわかること
- 育成就労の対象17分野と各分野の代表職種の一覧
- 技能実習82職種から「残ったもの・消えたもの」の変化点
- 航空・自動車運送業が慎重に扱われる正確な理由
- 「物流倉庫はOK・トラック運転手はNG」という物流業の棲み分け
- 製造業の「工業製品製造業」統合と2026年1月時点の最新情報
- 自社が対象分野に該当するかを確認するチェックリスト
育成就労制度とは?技能実習との違いと2027年施行スケジュール
対象分野の話に入る前に、まず「育成就労とは何か」を技能実習との違いから押さえておきたい。ここを理解しておかないと、なぜ対象分野が17分野に絞り込まれたのかが腑に落ちないからだ。
育成就労は「人材確保・育成」が目的──技能実習との根本的な違い
技能実習制度は、建前として「日本の技術・技能を開発途上国へ移転する国際貢献」を目的としていた。しかし実態は人手不足を補う労働力として機能しており、制度の趣旨と現実の乖離が長年問題視されてきた。
これに対し育成就労は、「日本国内の人材確保と人材育成」を正面から目的に掲げる制度だ。3年間の就労を通じて、人手不足分野の即戦力である「特定技能1号」の水準まで外国人材を育成することを狙いとしている。目的が変わったからこそ、受け入れる分野も「実際に人手が不足している産業」=特定技能の分野に合わせて再設計された。
| 比較項目 | 技能実習(旧制度) | 育成就労(新制度) |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 技能移転による国際貢献 | 人材確保と人材育成 |
| 対象範囲 | 82職種・約90作業(職種単位) | 原則17分野(分野単位) |
| 育成のゴール | 技能の習得・帰国が前提 | 特定技能1号水準への育成 |
| 転籍(転職) | 原則不可 | 一定要件で同一分野内の本人意向転籍が可能 |
| 在留期間 | 最長5年(実習1〜3号) | 原則3年(特定技能へ接続) |
「職種単位」から「分野単位」へ
技能実習は「溶接」「とび」「機械加工」のように細かい職種・作業ごとに対象が決められていた。育成就労ではこの考え方を改め、特定技能と同じ「産業分野」という大きな単位で対象を区切る。この設計変更が、後述する82職種からの変化点を理解する最大のカギになる。
いつから始まる?施行スケジュールと経過措置
育成就労法は2024年に成立し、2027年の施行が予定されている(公布から3年以内の施行)。すでに技能実習生を受け入れている企業についても、いきなりゼロになるわけではなく、一定の経過措置を経て段階的に新制度へ移行する設計だ。
採用担当者としては「2027年にすべてが切り替わる」と身構えるより、自社の業種が17分野のどこに該当するかを今のうちに確認し、特定技能までを見据えた採用計画を立てておくことが現実的な準備となる。
育成就労の対象17分野を一覧で確認
ここが本記事の核心だ。育成就労の対象は原則として17分野に整理されている。まずは全分野と、その分野で実際にどんな仕事をする人材を受け入れられるのか、代表的な職種を併せて一覧で確認しよう。
対象17分野と各分野の代表職種一覧
| # | 対象分野 | 代表的な職種・業務イメージ |
|---|---|---|
| 1 | 介護 | 身体介護、生活援助(訪問系を除く施設での介護業務) |
| 2 | ビルクリーニング | 建築物内部の清掃、衛生管理 |
| 3 | 工業製品製造業 | 機械加工、金属プレス、仕上げ、電気電子機器組立、塗装、溶接など(旧3分野を統合) |
| 4 | 建設 | 型枠施工、鉄筋施工、左官、とび、内装仕上げ、配管など |
| 5 | 造船・舶用工業 | 溶接、塗装、鉄工、機械加工、電気機器組立 |
| 6 | 自動車整備 | 日常点検整備、定期点検整備、分解整備 |
| 7 | 航空 | 空港グランドハンドリング(地上支援)、航空機整備 |
| 8 | 宿泊 | フロント、接客、企画・広報、レストランサービス |
| 9 | 自動車運送業 | トラック・バス・タクシーの運転業務(道路運送の安全規制が前提) |
| 10 | 鉄道 | 軌道整備、車両整備、車両製造、運輸・駅係員など |
| 11 | 農業 | 耕種農業(施設園芸・畑作など)、畜産農業(養豚・養鶏・酪農) |
| 12 | 漁業 | 漁船漁業、養殖業 |
| 13 | 飲食料品製造業 | 食品の製造・加工、衛生管理(HACCP対応の現場作業) |
| 14 | 外食業 | 調理、接客、店舗管理 |
| 15 | 林業 | 育林、素材生産(伐採・搬出) |
| 16 | 木材産業 | 製材、合板・集成材の製造 |
| 17 | 素材・部素材関連等のその他分野 | 制度設計の中で順次具体化される追加分野 |
分野の名称・区分は最終調整中の部分もある
育成就労の対象分野は、特定技能の分野追加・見直しと連動して制度の詳細が固まっていく。分野名や業務区分の細部は省令・運用方針で確定するため、実際に受け入れを検討する段階では出入国在留管理庁や所管省庁の最新の公表資料で必ず確認してほしい。本記事は2026年1月時点で公表されている枠組みに基づいている。
対象分野は「特定技能」とほぼ同じに設計されている
17分野を見て「特定技能の分野とよく似ている」と感じた人は鋭い。これは偶然ではなく、育成就労の対象分野は特定技能の分野に原則そろえる方針で設計されているからだ。
理由はシンプルで、育成就労のゴールが「特定技能1号水準への育成」だからである。育成就労で3年間働いて技能を身につけた人材が、そのまま同じ分野の特定技能1号へ移行できるよう、入口(育成就労)と出口(特定技能)の分野を一致させているのだ。この設計を理解しておくと、自社の分野判断や長期の採用計画が一気に立てやすくなる。
製造業はこう変わる──「工業製品製造業」への3分野統合
製造業の企業にとって、育成就労・特定技能の最大の変化点が「工業製品製造業」への統合だ。自社が該当するか判断するうえで欠かせないポイントなので、独立した章で解説する。
素形材・産業機械・電気電子情報が「工業製品製造業」に統合
もともと製造業の受け入れ分野は「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」という3つに分かれていた。これが「工業製品製造業」という1つの分野に統合・再編されたのが大きな変更点だ。
| 旧区分(3分野) | 主な業務イメージ | 新区分 |
|---|---|---|
| 素形材産業 | 鋳造、鍛造、金属プレス、仕上げ、めっきなど | 工業製品製造業 (1分野に統合) |
| 産業機械製造業 | 機械加工、鉄工、工場板金、機械保全など | |
| 電気・電子情報関連産業 | 電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造など |
統合によって、これまで「自社は素形材か産業機械か電気電子か」と分野の線引きで悩んでいた製造業の企業が、「工業製品製造業」という1つの枠で判断できるようになった。複数の工程を持つ町工場などにとっては、分野またぎの煩雑さが減るメリットがある。
2026年1月時点の最新運用と対象業務
工業製品製造業では、機械加工・金属プレス・溶接・塗装・電気電子機器組立てといった、製造現場の中核となる作業区分が広くカバーされている。さらに紙器・段ボール箱製造や繊維・縫製といった周辺の製造業務も、制度の見直しのなかで対象業務区分に位置づけられてきた。
「製造業ならすべてOK」ではない
工業製品製造業に統合されたとはいえ、対象となるのはあくまで定められた業務区分に該当する作業だ。自社の主要工程がどの業務区分に当たるかは、製品や作業内容によって判断が分かれる。受け入れ前に所管省庁が示す「対象業務区分」の一覧と自社の作業内容を必ず突き合わせてほしい。
技能実習82職種から何が残り、何が消えたのか
すでに技能実習生を受け入れている企業が最も気にするのが「いま受け入れている職種は育成就労でも続けられるのか」という点だ。ここでは技能実習の82職種(約90作業)から育成就労への変化を整理する。
技能実習の職種・作業から育成就労へ「残ったもの」
大前提として、育成就労は「職種単位」から「分野単位」へと考え方が変わった。そのため「○○職種が1対1でそのまま残る」のではなく、対象17分野の業務区分に再マッピングされると理解するのが正確だ。
たとえば技能実習の「介護」「建設関係の各職種」「食品製造関係の各職種」「農業」「漁業」「自動車整備」などは、育成就労でも介護・建設・飲食料品製造業・農業・漁業・自動車整備といった分野に概ね引き継がれる。人手不足が深刻で特定技能にも対応する分野は、形を変えながらも受け入れ自体は継続できると考えてよい。
| 技能実習での扱い(例) | 育成就労での位置づけ | 受け入れ継続の見通し |
|---|---|---|
| 介護職種 | 介護分野へ | 継続(人手不足の中核分野) |
| 建設関係の各職種(とび・鉄筋・配管等) | 建設分野の各業務区分へ | 継続 |
| 食品製造関係の各職種 | 飲食料品製造業分野へ | 継続 |
| 機械・金属関係の各職種 | 工業製品製造業分野へ統合 | 継続(分野統合) |
| 農業・漁業の各作業 | 農業・漁業分野へ | 継続 |
統合・再編・対象外になりうるもの
一方で、すべての旧職種がそのまま残るわけではない。次の3つのパターンに注意したい。
- 統合されるもの:製造業の素形材・産業機械・電気電子の各職種は「工業製品製造業」に統合された。職種名としては消えても受け入れ自体は継続できる。
- 分野に吸収・再整理されるもの:細分化されていた作業が、分野単位の業務区分にまとめ直される。同じ作業でも呼び名や区分が変わる場合がある。
- 対象から外れる・慎重に扱われるもの:人手不足の実態や受け入れ環境の整備状況によって、対象に含まれない、または運用が限定される業務もある(後述の航空・自動車運送など)。
「職種名が消えた=受け入れ不可」ではない
技能実習の細かい職種名が一覧から消えても、その作業が17分野の業務区分に含まれていれば育成就労で受け入れは可能だ。逆に、分野には入っていても自社の具体的な作業が業務区分から外れているケースもある。職種名ではなく「作業内容が業務区分に該当するか」で判断することが重要だ。
航空・自動車運送業はなぜ慎重に扱われるのか
17分野の一覧には航空と自動車運送業が含まれているが、これらは「分野として存在するのに、受け入れられる業務が限定的」という独特の位置づけにある。誤解されやすいポイントなので、正確に整理しておく。
航空分野は「空港グランドハンドリング・航空機整備」が中心
航空分野で受け入れ対象になるのは、空港のグランドハンドリング(手荷物・貨物の取扱い、航空機の誘導・けん引などの地上支援業務)と航空機整備が中心だ。空港の地上で航空機の運航を支える業務であり、パイロットや客室乗務員といった「航空機を運航・乗務する職種」は対象ではない。
つまり「航空業界=何でも受け入れOK」ではなく、地上支援と整備という特定の現場業務に限定されている。航空輸送そのもの(操縦・運航)は高度な国家資格と安全規制の世界であり、育成就労の対象とは性質が異なる。
自動車運送業の位置づけと安全規制という壁
自動車運送業(トラック・バス・タクシー)は、人手不足が極めて深刻なことから分野として加えられた経緯がある。しかし運転業務には、道路交通の安全という社会全体に関わる規制が立ちはだかる。
運転者の受け入れに伴う固有のハードル
・バス・タクシーの旅客運送には第二種運転免許が必要で、日本語での学科試験・実技試験を突破しなければならない
・トラックの幹線輸送には大型免許など相応の資格と運転経験が求められる
・乗客・歩行者の生命に直結するため、日本語による安全教育・コミュニケーション能力の確保が前提になる
こうした事情から、自動車運送業は分野に位置づけられても、受け入れの要件・運用が他分野より慎重に設計され、対象となる業務も運転業務の中で限定的に整理される。航空も自動車運送も「安全規制の重い領域は慎重に扱う」という共通した考え方が背景にあると理解すると、制度の輪郭がつかみやすい。
物流業の棲み分け──「倉庫はOK・トラック運転手はNG」を理解する
物流業を営む企業から特に多いのが「うちは物流だが、育成就労で人を受け入れられるのか」という質問だ。ここには明確な棲み分けがあり、これを理解しておくと採用設計を誤らずに済む。
物流倉庫の作業(ピッキング・仕分け・梱包)は対象になりうる
物流の現場でも、倉庫内での作業は飲食料品製造業や工業製品製造業などの分野に含まれる「構内物流・製品管理」の業務として受け入れられる余地がある。具体的には、ピッキング、仕分け、検品、梱包、入出庫といった倉庫内のオペレーション業務だ。
つまり「物流=対象外」と早合点する必要はない。製造・食品などの分野に紐づく倉庫・構内物流の作業であれば、その分野の業務区分のなかで人材を受け入れられる可能性がある。
幹線輸送のトラックドライバーは別枠──棲み分けの実務的理由
一方、幹線輸送を担うトラックの運転手は、倉庫作業とは切り分けて「自動車運送業」分野で扱われる。前章で述べたとおり、運転業務は道路交通の安全規制や免許要件が絡むため、倉庫内作業とは別の慎重な枠組みで管理されるのだ。
倉庫内作業(受け入れやすい)
- 業務:ピッキング・仕分け・検品・梱包・入出庫
- 分野:飲食料品製造業・工業製品製造業などの構内物流
- 規制:運転免許等は不要、現場の安全教育が中心
- 位置づけ:製造・食品分野の業務区分に含まれうる
幹線輸送のトラック運転手(別枠・慎重)
- 業務:トラックによる集配・幹線輸送の運転
- 分野:自動車運送業(運転業務)
- 規制:相応の運転免許・道路交通の安全規制が前提
- 位置づけ:運用が限定的で要件が重い
「同じ物流会社でも部門で扱いが変わる」
ポイントは、企業名や業界名ではなく「実際に従事する作業」で判断されるという点だ。同じ物流会社でも、倉庫部門での庫内作業なら製造・食品系の分野で受け入れられる一方、配送ドライバーは自動車運送業の枠で別途検討することになる。自社のどの部門で人材が必要かを切り分けて考えることが、棲み分けを乗りこなすコツだ。
現場の相談事例:自社が対象分野か迷った企業の判断プロセス
制度の枠組みを理解しても、実際の判断では迷うものだ。私がこれまで受けた相談のなかから、対象分野の判断に悩んだ2社のケースを紹介する。
事例①:製造業の中小企業が「工業製品製造業」該当を確認したケース
「うちは金属プレスと機械加工、それと電子部品の組立も少しやっています。技能実習のときは分野が分かれていて手続きが面倒だったんですが、育成就労ではどう扱われるんでしょうか?」
従業員45名の金属加工メーカーからの相談だ。旧制度では素形材・産業機械・電気電子と複数分野にまたがり、それぞれの要件確認に手間がかかっていた。
私がまず説明したのは、これらの作業が育成就労・特定技能では「工業製品製造業」という1つの分野に統合されているという点だ。金属プレス・機械加工・電子機器組立てはいずれも工業製品製造業の業務区分の中で整理されるため、分野ごとの線引きに悩む必要がなくなった。
そのうえで、自社の主要工程がどの業務区分に該当するかを所管省庁の一覧と突き合わせて確認し、対象に含まれることを確かめた。結果としてこの会社は、複数工程をまたぐ自社の体制が育成就労に向いていると判断し、特定技能までを見据えた受け入れ準備に着手した。
この事例の教訓
製造業は「工業製品製造業」への統合で判断がシンプルになった。ただし最終的な該当判断は「自社の作業内容が業務区分に当たるか」で確認すること。分野名だけで判断せず、現場の作業ベースで突き合わせるのが鉄則だ。
事例②:運送会社が「倉庫部門」で受け入れを設計したケース
「ドライバー不足が深刻で外国人材に期待していたのですが、運転手は要件が厳しいと聞きました。うちはもう人を増やせないのでしょうか?」
従業員90名の運送会社の人事担当者からの相談だ。当初はトラックドライバーの確保を期待していたが、運転業務の要件の重さを知って受け入れ自体を諦めかけていた。
そこで私が提案したのが、倉庫・構内物流部門での受け入れだ。この会社は配送だけでなく、食品メーカーの製品を扱う倉庫業務も請け負っていた。倉庫内のピッキング・仕分け・検品・梱包といった作業は、飲食料品製造業など製造系分野の構内物流業務として受け入れの余地があると整理できた。
結果として、まずは倉庫部門で外国人材を受け入れ、現場の安全教育と日本語コミュニケーションの体制を整えながら、将来的な運転業務への展開は制度の運用が固まるのを待つ、という段階的な計画に落ち着いた。「ドライバーが難しいなら倉庫から」という発想の転換が、人手不足の突破口になった事例だ。
育成就労から特定技能へ──長期就労を見据えた採用設計
育成就労の対象分野を理解するうえで欠かせないのが、「育成就労はゴールではなく、特定技能へのスタート地点」という視点だ。分野が特定技能とそろっている意味は、ここにある。
3年間で特定技能1号水準を育成する制度設計
育成就労は、原則3年間の就労を通じて外国人材を「特定技能1号」の水準まで育てることを目的としている。3年間で技能と日本語を一定レベルまで引き上げ、試験に合格すれば、そのまま特定技能1号へ移行できる流れだ。
対象17分野のいずれかで、業務を通じて技能と日本語を計画的に育成する。特定技能1号水準への到達を目標に据える。
育成期間中に特定技能1号の技能評価試験・日本語試験に合格すれば、同一分野の特定技能1号へ移行できる。分野が一致しているため接続がスムーズだ。
特定技能2号に対応する分野では、さらに高度な試験を経て在留期間の上限なく就労を継続できる。家族帯同が認められる場合もあり、長期戦力化が可能になる。
対象分野を「特定技能とセット」で考えるべき理由
採用担当者が育成就労の対象分野を確認するときは、必ず「その分野が特定技能でも続けられるか」までセットで見ることを勧めたい。せっかく3年かけて育てた人材を、特定技能へ移行できずに失っては本末転倒だからだ。
幸い、育成就労と特定技能の分野は原則そろえて設計されている。だからこそ「育成就労で受け入れ→特定技能1号→(対応分野なら)特定技能2号」という長期キャリアパスを最初から描いて採用計画を立てられる。対象分野の確認は、単なる入口チェックではなく、長期就労の設計そのものなのだ。
よくある質問(FAQ)
Q育成就労はいつから始まりますか?
育成就労法は2024年に成立し、公布から3年以内の施行が予定されているため、2027年の施行が見込まれています。施行に向けて分野ごとの業務区分や受け入れ要件などの詳細が順次固められていきます。受け入れを検討している企業は、出入国在留管理庁や所管省庁の最新の公表資料を確認しながら準備を進めてください。
Qいま受け入れている技能実習生はどうなりますか?
技能実習制度から育成就労制度への移行には経過措置が設けられる予定で、現に受け入れている実習生がいきなり在留できなくなるわけではありません。段階的に新制度へ移行する設計とされています。ただし分野や業務区分の整理によって扱いが変わる場合があるため、自社が受け入れている職種が育成就労のどの分野・業務区分に対応するかを早めに確認しておくことが重要です。
Q対象分野に入っていない業種は外国人を採用できないのですか?
育成就労や特定技能の対象分野でなくても、技術・人文知識・国際業務(技人国)など別の在留資格で外国人を採用できる場合があります。たとえば専門知識を要するオフィスワークなら技人国が候補になります。また、運送業のように運転業務は要件が重くても、倉庫・構内物流の作業であれば製造系分野で受け入れられる余地があります。「分野に入っていない=採用できない」ではなく、業務内容に合った在留資格を探すことが大切です。
Q自社が対象分野に該当するかはどこで確認できますか?
出入国在留管理庁や各分野を所管する省庁が公表する「対象分野・業務区分」の一覧で確認するのが基本です。分野名だけでなく、自社の具体的な作業内容がその分野の業務区分に含まれているかまで突き合わせる必要があります。判断が難しい場合は、外国人雇用に詳しい行政書士や登録支援機関に相談すると、自社の実態に即した正確な確認ができます。
自社が対象分野か確認するチェックリスト
受け入れを検討する前に、採用担当者として以下の項目を自社で確認しておこう。準備が整っているほど、制度移行や受け入れ手続きがスムーズになる。
- 自社の業種が育成就労の対象17分野のどれに当たるか目星をつけたか
- 分野名だけでなく、自社の具体的な作業が「業務区分」に含まれるか確認したか
- 製造業の場合、自社工程が「工業製品製造業」の業務区分に該当するか確認したか
- 物流の場合、倉庫内作業(製造系分野)と運転業務(自動車運送業)を切り分けて整理したか
- 現在受け入れている技能実習生の職種が、育成就労のどの分野へ対応するか確認したか
- 受け入れた人材を将来「特定技能1号」へ移行できる分野か確認したか
- 対象外・要件が重い分野の場合、技人国など別の在留資格の可能性を検討したか
- 最新の制度詳細を出入国在留管理庁・所管省庁の公表資料で確認したか
まとめ
育成就労の対象は原則17分野に整理され、特定技能とほぼ同じ枠組みで設計されている。技能実習の「職種単位」から「分野単位」へと考え方が変わったため、職種名ではなく「自社の作業が業務区分に該当するか」で判断するのが正確だ。
- 育成就労は原則17分野。製造業は素形材・産業機械・電気電子が「工業製品製造業」に統合された
- 航空・自動車運送業は分野にあっても安全規制ゆえ慎重に扱われ、対象業務が限定的
- 物流は「倉庫内作業はOK・幹線輸送のトラック運転手は別枠」という棲み分けを理解することが重要
育成就労は2027年の施行が見込まれており、いまから自社の分野該当と特定技能までの接続を見据えて準備しておくことが、人手不足時代の採用を制するカギになる。自社の業種が対象分野に当たるかの判断や受け入れ準備に迷う場合は、外国人雇用を専門とする行政書士や登録支援機関への相談が確実な一歩となる。