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「今まで使っていた送り出し機関は育成就労でも使えるのか」——2027年の施行に向けて採用ルートを検討する企業担当者から、このご相談をよくいただきます。
育成就労制度では、送り出し機関(外国人材を日本に送り出す現地の機関)についても技能実習時代より透明性・適正性に関する要件が強化されます。すべての国・機関が引き続き利用できるわけではなく、日本政府との協議状況や各機関の許可取得状況によって対応が異なります。
この記事では、送り出し機関の役割・育成就労での要件変化・主要国の対応状況・選び方のポイントを整理します。
この記事でわかること
- 送り出し機関とは何か——育成就労制度での役割と位置づけ
- 技能実習時代からの変化点(透明性・手数料規制の強化)
- 主要な送り出し国(ベトナム・インドネシア・フィリピン等)の対応状況
- 適切な送り出し機関を選ぶ際のチェックポイント
- 送り出し費用(外国人の負担)に関するルールの変化
筆者は池袋を拠点とする行政書士事務所(リライアンス東京)で、就労ビザ・特定技能・技能実習の申請を多数手がけてきました。送り出し機関の選定は採用の質を左右する重要なポイントです。
送り出し機関とは——育成就労制度での役割
送り出し機関とは、外国人材を日本に送り出すための手続きを担う現地(送り出し国)の機関です。候補者の選抜・日本語教育・渡航前オリエンテーション・書類準備などを行い、日本の受け入れ企業や監理支援機関との橋渡し役を担います。
技能実習時代の送り出し機関の問題点
技能実習制度では、送り出し機関が外国人候補者から高額な手数料を徴収する問題が国際社会から批判を受けていました。外国人労働者が借金を抱えて来日せざるを得ない状況が人権問題として指摘されており、育成就労制度ではこの問題への対処が制度設計の重要な柱の一つになっています。
技能実習制度において、ベトナムなどの送り出し国では外国人労働者が送り出し機関に支払う手数料が平均で100万円前後(場合によってはそれ以上)に達するケースが報告されており、この「過大な手数料問題」は制度廃止の主要因の一つとなりました。(出典:各種報道・国際労働機関(ILO)報告書)
育成就労での送り出し機関要件——技能実習からの変化点
主な変化点
| 項目 | 技能実習(旧) | 育成就労(新) |
|---|---|---|
| 許可制度 | 各国の基準に委ねる部分が多い | 日本政府が認定した機関のみ利用可能(方向性) |
| 手数料規制 | 規制が不明確・高額徴収が横行 | 外国人本人の負担を最小化する方向で規制強化 |
| 透明性 | 手数料の内訳が不透明なケースが多い | 手数料の開示・適正化が求められる |
| 日本語教育 | 渡航前の日本語教育が不十分なケースも | N5以上(入国時)の基準を満たす教育が必要 |
| 二国間協定 | 一部の国との間で協定を締結 | 育成就労を対象とした新たな協議・協定の整備 |
外国人本人の手数料負担を最小化する方向性
育成就労制度では、外国人本人が送り出し機関に支払う手数料を可能な限り抑制する方向で制度設計されています。具体的な上限額等は施行規則・各国との二国間協定の内容によって確定しますが、技能実習時代のような高額手数料が常態化しないよう、日本政府側からの規制・要請が行われる見込みです。
企業側にとってもこれは重要なポイントです。外国人が高額な借金を抱えて来日している状態では、「転籍したい(逃げたい)」という動機につながりやすいため、手数料が適正な機関を選ぶことは定着率向上にも関係します。
主要な送り出し国の対応状況
| 送り出し国 | 技能実習での実績 | 育成就労への対応状況(2026年時点) |
|---|---|---|
| ベトナム | 最多(全体の約55%) | 育成就労への移行協議中・最大規模の対応が見込まれる |
| インドネシア | 第2位(約15%) | 協議進行中。介護・製造業分野で実績あり |
| フィリピン | 第3位(約10%) | 英語力を活かした分野での活用が継続見込み |
| 中国 | 第4位(約5%) | 協議状況を確認中。高齢化により送り出し数が減少傾向 |
| ミャンマー | 急増中(約5%) | 政治情勢による影響を注視。協議状況を確認要 |
| カンボジア・ラオス | 少数 | 対応状況は各国の協議次第 |
注意点
上表は2026年6月時点の情報に基づく暫定的な状況です。各国との二国間協定の締結状況・送り出し機関の許可状況は2027年の施行に向けて順次更新されます。特定の国・機関を利用する予定がある場合は、施行直前まで最新情報を確認することが重要です。
当事務所に届いた相談事例
「10年来取引しているベトナムの送り出し機関があります。育成就労でも引き続き使えるか確認したいのですが、どう確認すればいいですか?」
栃木県の農業法人(従業員30名)の経営者からのご相談です。ベトナムの特定の送り出し機関と10年以上の信頼関係を築いており、育成就労でも継続したいとのことでした。
このケースでは以下のアドバイスをしました。
- まず現在の送り出し機関に「育成就労制度への対応予定はあるか」「日本政府が認定する機関として手続きを進めているか」を直接確認する
- 送り出し機関から明確な回答を得られない場合は、監理支援機関に相談して代替候補をリストアップする
- 育成就労の手数料規制に対応した新しい料金体系・契約内容を提示できるかを確認する
- ベトナム政府が認定した送り出し機関のリスト(COLAB等)を参照して、機関の正規性を確認する
信頼関係のある送り出し機関であっても、育成就労制度の要件を満たしていない場合は利用できなくなるリスクがあります。早めの確認と代替手段の準備が重要です。
適切な送り出し機関の選び方——5つのチェックポイント
「育成就労に対応している」「日本政府が求める要件への対応を進めている」と明確に表明している機関を選びましょう。曖昧な回答や「技能実習と同じで大丈夫」という返答は要注意です。
外国人本人が支払う手数料の内訳・金額を事前に開示しているかを確認します。高額な手数料(100万円超等)を外国人に負わせる機関は、育成就労制度の趣旨に反します。定着率・転籍リスクの観点からも、手数料が適正な機関を選ぶことが重要です。
育成就労ではN5以上(A1相当)の日本語能力で入国することが必要です。渡航前の日本語教育カリキュラム・合格実績・教師の質を確認しましょう。特に転籍条件であるN4手前を目指す3年間の教育計画との連携も重要です。
農業・製造業・介護・物流など、自社の採用分野での実績がある機関を選びましょう。分野によって求められる技能・候補者のプロフィールが異なります。また、対象国の地域によって技能・日本語力のレベルに差があります。
入国後の生活相談・トラブル対応・転籍が発生した際のサポート体制があるかを確認します。育成就労では転籍が制度上認められているため、転籍発生時のフォロー体制が整っている機関を選ぶことが、受け入れ企業・外国人双方にとってリスクを下げます。
よくある質問(FAQ)
Q技能実習で使っていた送り出し機関が育成就労でも使えるかどうか、いつ確定しますか?
各国との協議状況や各機関の対応によって異なります。2026年中に多くの情報が出てくることが予想されますが、特定の機関が育成就労に対応するかどうかは機関・国ごとに確認が必要です。監理支援機関(2026年4月15日から申請受付開始)は育成就労対応の送り出し機関とのネットワークを持つことが多いため、監理支援機関選定の際に送り出し機関の情報も合わせて確認することをお勧めします。
Q企業が直接送り出し機関に連絡して採用を進めることはできますか?
育成就労制度では、受け入れ企業が直接送り出し機関と契約することは一般的ではなく、監理支援機関を介して送り出し機関との連携が行われます。「企業単独型」という監理支援機関を介さない方式もありますが、要件が厳格で大半の中小企業には現実的ではありません。監理支援機関が提携する送り出し機関から選ぶ形が主流になります。
Q送り出し手数料は企業が負担するべきですか?
育成就労制度では、送り出し手数料の外国人本人への過大な負担を防ぐことが制度の趣旨の一つです。企業が手数料の一部または全部を負担することは法律上禁じられているわけではありませんが、費用分担の方法は契約内容・監理支援機関・送り出し機関との取り決めによって異なります。「外国人を借金漬けにしない」という観点から、企業側が一部負担するモデルを採用する企業も増えてきています。
まとめ
育成就労制度における送り出し機関は、技能実習時代より透明性・適正性の要件が強化されます。今まで使っていた機関が引き続き利用できるかどうかの確認を早めに行い、必要に応じて代替機関の準備を進めましょう。
- 送り出し機関は育成就労への対応状況を確認——技能実習と同じ前提は危険
- 手数料の透明性と外国人本人への負担額が適正かが定着率に直結する
- 主要国(ベトナム・インドネシア・フィリピン等)は育成就労対応の協議中
- 監理支援機関選定時に提携送り出し機関の情報も合わせて確認するのが効率的
- 選定の5ポイント:育成就労対応・手数料透明性・日本語教育・分野実績・アフターフォロー
「送り出し機関の選定を一緒にサポートしてほしい」「育成就労の採用計画全体を相談したい」——そのようなご相談は、当事務所へお気軽にどうぞ。
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